九州部会

異文化経営学会 第7回九州部会研究会のご報告

2021/03/11
九州部会は2013年2月11日に博多のホテルで設立研究会を開催、今年で8周年となる。2020年3月開催予定がコロナ禍で1年延期、第7回研究会をZoomで開催し全国から22人の参加を得た。市川理事の総合司会で、北九州、東京、北海道から3件の報告と地元熊本から記念講演が行われ、最後に会長より総括講評があった。

★第一報告はかつて炭鉱で栄えた北九州折尾の街並み復活を目指した地域の大学・商店街を巻き込んだ取り組みを紹介。外国人留学生・労働者が多い事情もあり、若者の意見も取り入れた学園大通りの活性化などスタートアップ支援活動に期待が持てた。

★第二報告はオリンピックなどスポーツ界におけるウェアー、シューズなどのビジネスの推移の中で圧倒的シェアを築いてきたナイキなど大手に対する新興国の追い上げと日本企業の地位低下、一方で日本発の手袋メーカーはスポーツから宇宙へ飛躍し世界的なシェアを獲得など。コメンテータからは日本はシェア低下と言いながらユーザー獲得の可能性は大いにあるとの応援もあった。

★第三報告は北海道における起業に着目し、step-upの可能性以前に意識(潜在意識も)レベルでの気づかせの重要性、教育の必要性、また女性のキャリア形成を阻害する地域性の課題などの報告。コメンテータからは農業の機械化、Iot活用の可能性について北海道の事例を求め、清里の機械導入事例などが紹介された。

★記念講演は九州部会長からで、熊本生まれの『星の王子様』翻訳者・内藤濯氏の生い立ちを調査する過程で浮かび上がった熊本における日仏交流、ラグビーワールドカップ招致に発展。『星の王子様』と訳した内藤濯氏の韻と音、さらに熊持弁を駆使した口述翻訳という特殊性の紹介。上京して学んだフランス語習得が東大仏文科創設に関わりフランス語・フランス文化の普及発展に携わる教え子の存在などを紹介。

★最後に馬越会長から総括講評をいただいた。それぞれの報告に地域性もあり興味深かった。Zoom故の北から西の九州に至る参加者は素晴らしいが、地域部会はそこに出掛けることによるserendipity(予期せぬ発見・出会いなど)の魅力がある。Zoomは空間を超えることができて便利だが、やはり偶然の出会い期待したい…など。

【プログラム】
1.と き 2021年3月13日(土)13:15〜17:00
2.内 容<総合司会>市川順一(理事・九州部会事務局長、折尾愛真短期大学)

【開会挨拶】小野豊和(理事・九州部会長)

【研究報告①】(報告=30分、コメント・質疑応答=15分)

・報告者 市川順一(折尾愛真短期大学准教授)
「北九州市のスタートアップ及び地域活性化の支援・取り組みの検証」
・コメンテータ:岩本勝行(東海大学経営学部准教授)

【研究報告②】

・報告者:高橋徹(明治大学経営学部客員教授、スポーツ庁政策課技術審査委員会専門員)
「日本のスポーツ界が世界に影響を与えたイノベーション」
・コメンテータ:唐沢龍也(関東学院大学経営学部准教授)

【研究報告③】

・報告者:堤悦子(北海商科大学教授)
「企業マネジメントにおける構成員の階層意識・地域性とCovid-19後の 新しい働き方」
・コメンテータ:小堀朋子(千葉商科大学非常勤講師)

【記念講演】

・講師:小野豊和 (理事・九州部会長、元東海大学教授)
・演題:「『星の王子様』の翻訳者・内藤濯氏の出自と明治・大正・昭和期のフランス文化移入についての考察」

【総括コメント】

馬越恵美子(本学会会長・桜美林大学副学長)


以下の画像をクリックすると大きなお写真をご覧いただけます。


* * * * * * * * * * * * * * * *
<<九州部会一覧へ戻る
このページのトップへ▲