関西部会

異文化経営学会 第16回関西部会のご報告

2023/04/01
理事・関西部会長 古沢 昌之(近畿大学)

2023年3月21日(火・祝)、関西学院大学 大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)にて、第16回関西部会が開催され、24名の会員にご参加いただいた。また、研究会終了後は関西部会として約3年半ぶりの懇親会が開催された。研究会・懇親会に出席を賜った会員の皆様に心より御礼申し上げる次第である。
以下、詳細については、本学会会員のECCジュニア・津田優子氏の所感をご一読いただきたい。



<報告と所感>(株)ECCジュニア 津田優子
去る2023年3月21日、関西学院大学・大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)にて第16回関西部会が開催され、前回に引き続き対面式で非常に有意義な部会となった。
今回の部会は、関西国際大学の李容淑先生の司会のもと、本学会理事の関西学院大学・藤澤武史先生による開会挨拶でスタートした。その後、第1報告として本学会理事・関西部会長の近畿大学・古沢昌之先生から「日本企業における国際人的資源管理の変革―サントリーの事例研究―」というテーマで発表があった。本報告では、サントリーが「規範的統合」と「制度的統合」を車の両輪として、HR成果及びグローバル・イノベーション成果に繋げた旨が述べられた。またその過程で、サントリーは自社のバリューの1つである「やってみなはれ」について、当初は「Go for it!」と英訳して外国人社員に提示したが、本来の意味が伝わらなかったため、「Yatte Minahare」と日本語のまま表現する一方で、教育施策等と連動させてその浸透に注力したという点が興味深かった。このほか、サントリーの今後の課題として、人事部門だけでなく他の本社部門でも「国境を越えた協働」を実現するための人的資源管理施策の展開が挙げられた。コメンテーターの流通科学大学・辻周吾先生からは、本報告は日本企業が今後どのように海外子会社と関わり、イノベーションを起していくかを考える契機になるとのコメントがあった。
第2報告は宇都宮大学・鄭安君先生より「日本の介護分野における外国人の受入れ動向と課題―労働力と専門人材育成の狭間で―」というテーマで報告があった。実際に現場に出向かれ、生の声やデータを基に色々な角度からテーマを分析された発表であった。コメンテーターの本学会理事の愛知工業大学・加藤里美先生からは介護職は「エッセンシャルワーカー」としての「労働力」、また感情労働をする「専門人材」でもあり、適材適所での配置と人材育成が重要であるという現状分析に説得力があるとのコメントがなされた。本報告では、外国人の中には日本人にない介護に対するセンスがある者もいるとの指摘が印象的だった。
第3報告は公益財団法人関西生産性本部・辻本健二先生が「なぜ日本の生産性や賃金が上がらないのか―新しい資本主義とは―」というテーマでプレゼンされた。多くの資料やデータから主な原因として、①製造業からサービス業への大量の労働シフト、②株主資本主義の浸透、③政府の緊縮財政の継続を挙げられた。また、その打開策として、①サービス業の生産性向上、②株主偏重を改め、賃金や投資へ配分すること、③デフレ脱却の財政政策を柱に具体的方法を論理的に説明された。一方でコメンテーターの本学会理事の兵庫県立大学・大阪商業大学の安室憲一先生は日本の経済停滞は「少子高齢化」による「人口減少」(需要減少)のためとされ、現在韓国や中国などの国も人口減少が始まっているように、日本が20年ほど世界を先駆けたに過ぎないと分析された。また新しい資本主義の可能性として、人口減少に伴い地球環境が改善され、住みやすい世界を作るための政府支出が増大する、グローバリゼーションが進み、差別のない自由な社会が来る、IT分野など知識資本主義下では男女格差はなくなるが、貧富の格差は縮まるのか?など新たな問題提起もされ興味深かった。
最後に本学会会長の桜美林大学・馬越恵美子先生より、年2回の関西部会は会を重ねる度に報告者のレベル向上を実感するとコメントされ、ロケーション・眺望抜群の会場で参加者の活発な意見交換のもと第16回関西部会は閉会となった。 研究会の後は、関西部会としては約3年半ぶりの懇親会が開催され、古沢先生の報告にもあったサントリーのジン「ROKU 六」も振る舞われ、興奮冷めやらぬまま対面の良さを再度認識しお開きとなった。



と き 2023年3月21日(火・祝日) 13:30〜19:15
ところ 関西学院大学 大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)10F「1004教室」
内 容
<総合司会>関西国際大学 李 容淑 氏

1. 開会挨拶 13:30〜13:35 関西学院大学 藤澤 武史 氏(本学会理事)

2. 研究報告① 13:35〜14:20(報告=20分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=15分)

・報告者 近畿大学 古沢 昌之 氏(本学会理事・関西部会長)
・テーマ 「日本企業における国際人的資源管理の変革―サントリーの事例研究―」
・司会・コメンテーター 流通科学大学 辻 周吾 氏

=休憩(14:20〜14:35)=

3. 研究報告② 14:35〜15:35(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)

・報告者 宇都宮大学 鄭 安君 氏
・テーマ 「日本の介護分野における外国人の受入れ動向と課題―労働力確保と専門人材育成の狭間で―」
・司会・コメンテーター 愛知工業大学 加藤 里美 氏(本学会理事)

=休憩(15:35〜15:50)=

4. 研究報告③ 15:50〜16:50(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)

・報告者 関西生産性本部 辻本 健二 氏
・テーマ 「なぜ日本の生産性や賃金が上がらないのか―新しい資本主義とは―」
・司会・コメンテーター 兵庫県立大学・大阪商業大学 安室 憲一 氏(本学会理事)

5. 総括コメント 16:50〜16:55

・桜美林大学 馬越 恵美子 氏(本学会会長)

6. 諸連絡 16:55〜17:00

・近畿大学 古沢 昌之 氏(本学会理事・関西部会長)

7. 懇親会 17:15〜19:15

・場所 KICHIRI 茶屋町阪急駅前店

以上


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